Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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むすめえんじゅつし

娘煙術師

国枝 史郎

Leggi 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 267.766 caratteri · 530 schermate

Aozora Bunko

すぐに抜け出た頸足が、燭台の燈火に照らされたが、脂肪気がなくてカサカサとしていて、折れそうに細っこくて穢ならしかった。それでいて腫物でもあるのであろう、角に切った膏薬が貼ってあった。

いかにもその老女がいった通り、東側に立っている小丘の麓に、朱色の十文字が小さくはあったが、たしかに三つ記されてあった。と、一本の腕が出て指が綴じ紙を一枚めくった。横から歯茎の取れている老女が、次の図面を見ようとして、綴じ紙をめくったのであった。

また図面が描かれてあった。

とはいえそこに描かれてある図面は、大名衆の下屋敷でもなく、田舎の豪農の家でもなく、一宇の寺院の仁王門であって、その仁王門の礎のあたりに、例によって朱色の十文字の符牒が、このたびは四つ記されてあった。

「どこの仁王門でございましょう?」

こういったのは歯茎のない老女で、こういうと片方の膝を崩し、体をいやらしくクネクネとさせた。少し拡がった胸もとのへんを、燭台の燈火が光らせたが、一つ家の鬼女を想わせるように、皮膚がたるんでいて茶色をなしていた。

誰も返事をしなかった。誰もが知っていないからであろう。

「どれどれ次をめくって見ましょう」