Classici giapponesi con furigana
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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
Leggi 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 267.766 caratteri · 530 schermate
さっき方佐久間町の入り口で、美作と兵馬とを相手にして、紋也とお粂とは切り合っていたが、そこへ鈴江と駒雄とが、駆け付けて行って助勢をした。で、美作と兵馬とは、驚いて一散に走って逃げた。が、その時佐久間町のほうから、鈴江と駒雄とを尾行けて来た、友吉の一団が走って来て、美作と兵馬とへ味方をした。そこで美作と兵馬とは、盛り返して来て引っ返して、気絶をしている紋也をはじめ、お粂や鈴江や駒雄などを、一挙に討って取ろうとした。が、成功しなかった。儒者ふうの老人が籠っている宏大な屋敷の潜りの戸があいて、騒がしい往来のようすを見るべく、武士たちが現われて来たからである。この武士たちにかかられては、勝ち目のあろうはずはなかった。で美作をはじめとして、兵馬も友吉の一団も、そのまま逃げて姿を隠した、その混乱の間を縫ってお粂が印籠をすったのである。
今、月光をためている、鈴江の開いた掌の上に、静もりのっている印籠こそは、その時にすった印籠なのであった。
「印籠も印籠ではあるけれども、佐久間町の入り口の往来の上に捨てられてあった片袖が、妾にはどうにも心配でならない」こう鈴江がつぶやいて、印籠をのせていない一方の手に、かたく握っていた男物の片袖を月にすかすようにして、鈴江は額の上へかざした。