Classici giapponesi con furigana
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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
Leggi 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 267.766 caratteri · 530 schermate
老儒者は懐中へ手を入れたが、綴じ紙を取り出すと膝の上へ拡げた。
「目的の地も近くなった。京丸の地はもう間近だ」いいいい老儒者は綴じ紙の面に描かれてある細密の地図のその一所に記されてある牡丹の符牒へ眼を注いだ。
「はじめには水戸様のお下屋敷へ、その次には土屋采女正様のこれも同じお下屋敷へ、次には美濃の豪農の関重左衛門の屋敷のほとりへ、その次には石山の仁王門の下へ、あばかれるを恐れて地を変えて埋め、最後の京丸の秘密境へ埋めておいた莫大の金子は、この綴じ紙が手にはいったので、我々の所有となることになった。……そのために苦労をした吉田武左衛門はどうしたことやら?」
憮然とした老儒者の眼尻のあたりに涙がにじんで露のように見えた。と、側にいた紋也が訊いた。
「吉田武左衛門と仰せられる仁と、綴じ紙との間には関係があるのでござりましょうか?」
「金子を転々と埋め変えて、そのつど符牒をつけたのが、ほかならぬ吉田武左衛門なのだよ。……俺の門下の中にあっても、信用のおける人物であった」
丘をめぐって雑木林があり、小鳥が飛び来たり飛び去っては、紅葉を散らし、紅葉を散らした。
「俺はな、一度だけ武左衛門を見かけた」