Classici giapponesi con furigana
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こうじょうさいぼう
工場細胞
小林 多喜二
Leggi 工場細胞 (こうじょうさいぼう) di 小林 多喜二 (こばやしたきじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 91.234 caratteri · 184 schermate
その人たちは俺を見ると、一寸立ち止まって、それから頭を振っていた。
「さ、これでこの世の見おさめだぜ、君。」
と特高が云った。
「二年も前に入っている三・一五の連中さえまだ公判になっていないんだから、順押しに行くと随分長くなるぜ。」
俺はその時、フト硝子戸越しに、汚い空地の隅ッこにほこりをかぶっている、広い葉を持った名の知れない草を見ていた。四方の建物が高いので、サン/\とふり注いでいる真昼の光が、それにはとゞいていない。それは別に奇妙な草でも何んでもなかったが――自分でも分らずに、それだけを見ていたことが、今でも妙に印象に残っている。理窟がなく、こんなことがよくあるものかも知れない。
俺は今朝Nが警察の出がけに持ってきてくれたトマトとマンジュウの包みをあけたが、しばらくうつろな気持で、膝の上に置いたきりにしていた。
控室には俺の外にコソ泥ていの髯をボウ/\とのばした厚い唇の男が、巡査に附き添われて検事の調べを待っていた。俺は腹が減っているようで、食ってみると然しマンジュウは三つといかなかった。それで残りをその男にやった。「髯」は見ている間に、ムシャムシャと食ってしまった。