Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Leggi 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) di 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 113.247 caratteri · 229 schermate
玉村という偽名であの家を借りて、あの病人をひとりで寝かしといたんだす」
「そして病人がいよいよ駄目で口もきけないということがわかってから医者をよびに行ったのだな?」
「そうです。でも僕が病気を悪くさしたのではないのですよ」
「だが、君は病人にウィスキーか何かのませやしなかったか?」
「そんなことまでわかりましたか」と彼は額に脂汗をにじませながら言った。
「実は、あの病人が、とても回復の見込みはないから、この世の思い出に好きな酒を一杯だけ飲ましてくれとせがむもんですから、ブランデーを一杯のましてやったのです。ところが彼奴はひどく喜んでお礼を言っていたかと思うと、急に昏睡状態に陥ってしまったのです」
「では、その死んだ男は、まだ生きていることになっているんだな?」
「そうです、選挙がすんだら、間違いを届け出て訂正して貰おうと思っていたのです」
「では、その男の戸籍はわかっているのか?」
「僕がその男を家へつれてきたとき、大変よろこんで、死骸の始末だけしてくれと言って、僕に身元をすっかり話してくれました」
「そんなことを届け出たら君は大変な罪になるぞ」と私は、少し考えるところがあったのでおどしてやった。