Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あるたんぼうきしゃのはなし

平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕

平林 初之輔

Leggi 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) di 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 113.247 caratteri · 229 schermate

Aozora Bunko

彼はまた菜っ葉のように蒼くなった。こういう荒くれ男が青くなるのは、見ている者には実に愉快なものだ。

「だが」と私はすっかり勝利者の優越感を味わいながら言った。

「君がすなおに白状したから、僕はこんな問題を警察沙汰にしようとは思わん。と言って死んだ男を生きたことにして、生きている僕を死んでしまったことにしておくわけにもゆかんから、これは僕から届けて訂正してやる。君は、前途有為の青年だ、もう二度とこんな悪いことをしちゃいかんぞ。君の一生を今棒に振らせては気の毒だから、その死んだ男の戸籍を僕に渡したまえ、僕の方からそっと手続きをすまして、君の名は出さずにおいてやる」

彼は、私の寛大な処置に非常に感謝して、本箱の抽斗から紙片をとり出して私の方へもってきた。

このことがあってからもう一年になる。むろん私はいまだに、そのことは届けていないのだ。玉村は、私の方ですっかり手続きをすましたものと思いこんでいるから、彼の方で届け出る気遣いはない。

こうして私は死んでしまったのだ。そして今でも死んだことになっているのだ。私には墓場もあれば、死亡届も出ており、医師の診断を経て死体は落合の火葬場で焼かれて、遺骨は先祖の墓にうめられているのだ。