Classici giapponesi con furigana
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あるおんな
或る女
有島 武郎
Leggi 或る女 (あるおんな) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.981 caratteri · 295 schermate
自分を囮にまで使おうとする無礼もあなたなればこそなんともいわずにいるのだという心を事務長もさすがに推したらしい。しかしそれにも係わらず事務長は言いわけ一ついわず、いっこう平気なもので、きれいな飾り紙のついた金口煙草の小箱を手を延ばして棚から取り上げながら、
「どうです一本」
と葉子の前にさし出した。葉子は自分が煙草をのむかのまぬかの問題をはじき飛ばすように、
「あれはどなた?」と写真の一つに目を定めた。
「どれ」
「あれ」葉子はそういったままで指さしはしない。
「どれ」と事務長はもう一度いって、葉子の大きな目をまじまじと見入ってからその視線をたどって、しばらく写真を見分けていたが、
「はああれか。あれはねわたしの妻子ですんだ。荊妻と豚児どもですよ」
といって高々と笑いかけたが、ふと笑いやんで、険しい目で葉子をちらっと見た。
「まあそう。ちゃんとお写真をお飾りなすって、おやさしゅうござんすわね」
葉子はしんなりと立ち上がってその写真の前に行った。物珍しいものを見るという様子をしてはいたけれども、心の中には自分の敵がどんな獣物であるかを見きわめてやるぞという激しい敵愾心が急に燃えあがっていた。