Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あるおんな

或る女

有島 武郎

Leggi 或る女 (あるおんな) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.981 caratteri · 295 schermate

Aozora Bunko

といきなり恨めしそうに、貞世は姉の膝をゆすりながらその言葉をさえぎった。

「さっきからなんど書いたかわからないのに平気でほんとにひどいわ」

一座の人々から妙な子だというふうにながめられているのにも頓着なく、貞世は姉のほうに向いて膝の上にしなだれかかりながら、姉の左手を長い袖の下に入れて、その手のひらに食指で仮名を一字ずつ書いて手のひらで拭き消すようにした。葉子は黙って、書いては消し書いては消しする字をたどって見ると、

「ネーサマハイイコダカラ『アメリカ』ニイツテハイケマセンヨヨヨヨ」

と読まれた。葉子の胸はわれ知らず熱くなったが、しいて笑いにまぎらしながら、

「まあ聞きわけのない子だこと、しかたがない。今になってそんな事をいったってしかたがないじゃないの」

とたしなめ諭すようにいうと、

「しかたがあるわ」

と貞世は大きな目で姉を見上げながら、

「お嫁に行かなければよろしいじゃないの」

といって、くるりと首を回して一同を見渡した。貞世のかわいい目は「そうでしょう」と訴えているように見えた。それを見ると一同はただなんという事もなく思いやりのない笑いかたをした。