Classici giapponesi con furigana
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しん・へいけものがたり
新・平家物語
吉川 英治
Leggi 新・平家物語 (しん・へいけものがたり) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 123.012 caratteri · 245 schermate
妄想させ、狂暴にさせ、涙もろくさせ、不眠にさせ、主体のかれでも、処置のつかないものである。父母未生前にまでさかのぼって、人間に善を説く仏だの神だのも有りとしながら、主体の許容もなく、人の子の血管に、こんな性をしのび込ませておいたのはだれなのか。
――清盛はいいたい。――苦しい、気が狂いそうになる。これは、白河上皇か母にあったものにちがいない。上皇か母がおれに持たせたものだ。おれのすることは、おれだけの責任ではない。
とはいえ、まだひとりで、六条の遊女宿へゆくほどな勇気もなかった。妄想して、思うらくは――またあの遠藤盛遠でも現われて、六条へ誘ってくれるものなら、そこでもよし。あるいは、行きずりの女でもかまわない。いやいや、月夜狐が女に化けて来てくれたのでもありがたい。何しろ、身のうちに暴れうめいているものを、宥め、鎮めてくれるものならば、ふと、一瞬の幻覚でもいい。女にふれたい。巡りあいたい――と、いう熱病のかれであった。
妄想の子の、あわれな影が、夏ごろから、この秋も、幾たびか、中御門家の裏あたりを、うろついていたのは事実である。
今夜のかれも、いつかそこへ来ていた。