Classici giapponesi con furigana
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しん・へいけものがたり
新・平家物語
吉川 英治
Leggi 新・平家物語 (しん・へいけものがたり) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 123.012 caratteri · 245 schermate
一天の銀河が頭上に振り仰がれた。おれの位置はいま滑稽な宙ぶらりんを描いているが、しかし秋夜の大気をこうしてひとり占めしてみたのは悪い気持でもないと思う。
『おや。……まただぞ』
遠くの火事である。
清盛は、洛内の屋根の一つに眸をこらした。
洛内の火事は、めずらしくない。それはすべて放火だという。無情な貴族繁栄、民意ではわからない二院政治、暴意のみふるう武装僧団――そういう少数の下に無数の食えない層が、うすい筋骨を重ねて眠っている都の真夜半というものほど不気味な地上はない。――赤く、めらめらと、揚げている焔の舌こそ、飢民の舌である。かれらに、言論はないが、放火はかれらの輿論だった。――美福門の火事、西坊城の火事、鳥羽院別当門の火事、関白忠通の別荘の火事など、近年のそれはみなただごととは思えない。しかも、火の雨の下、黒けむりのうち、時こそと、おどる者は、これまた、藤原氏の栄花と宿業をともにして生息する地下の群盗であった。
清盛は、築土のみねから、跳び降りた。
内へでなく、外へ。――そして、騒めき出した街音を、肩に切って、かれらしく馳け出していた。
鬼影
秋の長雨がつづき、憂えられたが、ことしは、加茂や桂川の出水もなく、九月の北山は、紅葉しかけた。