Classici giapponesi con furigana
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しん・へいけものがたり
新・平家物語
吉川 英治
Leggi 新・平家物語 (しん・へいけものがたり) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 123.012 caratteri · 245 schermate
『ニコともせぬが、こぼるるばかりな』
『やかにはあれど、客どものために、厨で立ち働いていたままの水仕すがた、白芙蓉の花にも似て――』
『春ならば、梨花の一枝』
『ああ、傷まし、傷まし――』武者面にも似ぬ感傷をこめて、ひとりは、長嘆した。『人妻ながら、げにも美しかった。その袈裟ノ前が、殺されたとは』
清盛は、初め、耳を疑った。――袈裟御前の死。袈裟御前が殺された。――そう聞いても、にわかには、かれの胸にある印象が、拒むかのように、生きていて、信じたがらない。そのひとがいかに美人だったかを清盛にいわせるならば、清盛はなおなお諸人の称賛も足らないとしていうことが多かったであろう。
が。人の新妻と知るるばかりに、かれは、想うだに罪悪としていたのである。いま、その袈裟の身に凶事があって、人びとの口端にかの女の名が争っていわれ出すや、かれもまた、盲恋の窓を放って、まるで自分のことみたいに眼色をかえ、人びとの中へ割りこんでいた。
『ほんとか。まちがいないのか。……殺したのは、だれなのだ。下手人は。下手人は?』
『平太どの。あちらで、忠盛どのが、呼んでおられるぞ』
たれかに、いわれて、清盛は、中門の方へ馳けた。