Classici giapponesi con furigana
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しん・へいけものがたり
新・平家物語
吉川 英治
Leggi 新・平家物語 (しん・へいけものがたり) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 123.012 caratteri · 245 schermate
『そこが、殿上輩の、つけこみどころよ』
『とく、昇殿はゆるされておるが、身はなお、地下人においている気もち――とは、つねに殿が仰っしゃっているおことばだ。それは、おれたちへ、いっていることでもあるぞ』
『ではなぜ、昇殿など、ゆるし召されたか。おれは、上皇に、伺ってみたい。鳥羽殿のおんまくらにも通えよかし、おれは、ここから怒鳴るぞ。怒鳴ってやる』
『ば、ばか』
口をふさぐ。顔を振りぬく。手と手で揉み合う。杯が酒を流す。――それを、清盛は、そら耳のように聞いていたが、やおら、身を起こして、その一かたまりの中にすわりこむと、
『やい、地下人めら、何をグタグタ泣きごというぞ。わいらは、蛙ほども、蛇ほども、知恵のないやつか。よく思え、百千種も、春の来ぬうちは、地下草だぞよ。地の下のものだぞよ』
と、両方の手をいっぱいに広げて、そこらにいた人間の頭を四つ五つ、ひと抱えに、ひざと胸とに、抱きしめた。
『まだ、わいら、観念がたらないぞ。ああ、地下草。よろこぶべし、芽こそまだ見ね、地下草なのだ。おれたちはナ。……な。……なアやい、不服か』
頭と頭は、清盛の腕の中で、腕の力が締め弛められるたびに、ゴツンゴツン、音をさせて、目から火の出るようなカチ合わせをさせられていた。