Classici giapponesi con furigana
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しん・へいけものがたり
新・平家物語
吉川 英治
Leggi 新・平家物語 (しん・へいけものがたり) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 123.012 caratteri · 245 schermate
土に寝、木の洞にひそみ、食物も火も用いない物ばかり食っていたらしいことは――そのボロボロな衣服や、素足の血泥や、そして急に獣じみてきた眼つきにも、わかる。
学問、良識のあるかれ。――文章得業生をも属望されていた秀才とは、これなのか。
こんなにも、あとかたなく、身にとどまらない才学とは、ゆめ、思わずに、ひとを衆愚と視、誇を高うしていたかれだろうに、おもかげもない。
あるのは、とにかく生きている――歩けばうごく生き物の――いのちがあるといえるだけである。
チチ、チチ。小鳥の音は、よく耳に透る。兎や鹿を見れば、親しまれる。盛遠は次第に山の鳥獣たちが、自分の仲間に思われていた。――が、ガサとでも人間の気はいに襲われると、満身の毛は、すぐ針になった。
『――来たなッ』
抱えているまろい物を、かたく持ち直したまま、しばらくは、虹のような眼気がおさまらない。
かれの狩衣の片そでが、そのまろい物の包みに用いられていた。あの夜以来、かれが、かた時も手ばなさない袈裟の首級にちがいなかった。露や土にまみれ、にじみ出た血しおは漆みたいに干乾びている。――あまつさえ、十数日を経ているので、異臭をもってきたことは、いうまでもない。