Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しん・へいけものがたり

新・平家物語

吉川 英治

Leggi 新・平家物語 (しん・へいけものがたり) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 123.012 caratteri · 245 schermate

Aozora Bunko

上皇は、すくみ立って、叫ばれた。

『やっ。悪鬼?』

――まるで、針の蓑を着たような、大頭の怪物が、かっと、こっちへ向いて、口を開いたかのように見えたのである。

『忠盛忠盛。斬りすてい』

上皇は、恐怖にみちたお声の下で急きたてた。あっと、木工助家貞がまず答え、忠盛は、長刀を横にひそめて、そこへ馳けた。

だが、すぐこの君臣三人は、大笑いをのこして女御の家の門へ、はいって行った。――怪物と見えたのは、笠の代りに、麦ワラを束ねて被っていた八坂の油つぎ坊主が、灯籠へ灯を入れていたものであった。

悪鬼、妖怪、雷神、風神などの実在を、貴族も一般人も、疑わない時代であった。それにしても、よほど、後では、おかしかったとみえて、当夜のおどろきや、雨夜坊主の滑稽さを、上皇自身も、たびたび、側近に語られた。

そのたびにまた、上皇には、かならずそのおりの、忠盛の態度を、賞めちぎった。もし、忠盛が、臆病者であったら、かならず過って、罪もない坊主を斬り殺していたにちがいない。剛胆、沈着、武者たる者は、よろしくかれの如きであれ――と、いうのである。

ところが、暇の多い公卿たちは、得意の臆測をもてあそんで、