Classici giapponesi con furigana
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しん・へいけものがたり
新・平家物語
吉川 英治
Leggi 新・平家物語 (しん・へいけものがたり) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 123.012 caratteri · 245 schermate
ただひとりの目撃者として。
だが、第三者が、目で見たとする記憶などが、世事百般に、どれほどな真実性を、真実だとして、後のちにまで、断言し切れるだろうか。ことに、二十年も前のやみ夜のことなどが――。
木工助も今、同じ迷いを持った。自分の目撃も、解釈のしようで、どうにでも、動くことを、新たに、思いかえさずにいられない。
なるほど、半分ぐらいな“ほんと”は交じっているかもしれない。しかし、おせっかいな遠藤盛遠やら、世上でも語りつたえている――雨夜の油坊主と忠盛の沈勇――と称する一事件は、まったく、木工助の目撃とはちがっている。かれの記憶では、その夜、上皇の訪れとともに、祇園女御が住む所の垣を越えて、内から雨のやみへと、あわてて逃げ出したひとりの怪僧を見ただけのことにすぎないのである。
それと。――その夜は、上皇と女御との、おん睦みも、常でなく、何やら、女御の泣き声がもれたり、忠盛が奥へ召されたり、上皇のあらあらしいお声などもあって、暁もまたず、院へお帰りになってしまったのが――異例なことでもあったし、いぶかしいといえば、いぶかしいことでもあった。
けれど。