Classici giapponesi con furigana
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しん・へいけものがたり
新・平家物語
吉川 英治
Leggi 新・平家物語 (しん・へいけものがたり) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 123.012 caratteri · 245 schermate
『なんですって、母上。それほど、いらない物なら、なぜわたくしを、堀川の叔父のところへなど、こじきみたいに、借りにやったのですか』
『おだまり。いつ母が、そなたを、そんな使いにやりましたか。それは、父上のおさしずでしょうが』
『でも。……でも、このおかねは、貧しいわが家の家計につかう物ではありませんか。母上だって、救われるのでしょうが』
『いいえ』と、泰子は、四十ちかい容色とはどうしても見えないほどみずみずしい顔をきつく振って――『いやなことです。わたくしは、そんな浅ましいお救いには、あずかりませぬ』
『じゃあ、母上は、食べないでいますか。あしたから、食べませんか』
清盛は、大きな耳たぶを、赤くした。撲りもしかねない眼つきである。両の拳は、そのひざの上に、わなわなと、ふるえを示していた。
『ええ、食べませんとも。……清盛よ。オオ、うしろに、経盛も来ておいでだの。ふたりとも、お聞きなさい。和御前たちには、不びんではあるが、母は、きょう限り、忠盛どのに、お暇をいただいたぞや。――忠盛どのとも、今からは、妻でもなし、良人でもない。男の子は男親につくのがならわし、お身たちとも、これきりと思うて給も。