Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
しん・へいけものがたり
新・平家物語
吉川 英治
Leggi 新・平家物語 (しん・へいけものがたり) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 123.012 caratteri · 245 schermate
次の瞬間、清盛は、何かを、とび越えるような心理で、母のそばへ、寄っていた。寄ってみれば、なんの不自然もない母子を感じながらも――なおかれのひとみは、群集をはばかるように、どこか落着ききれない色をひそめていた。
泰子は、かれのその容子を、すぐ、そばの瑠璃子にむすびつけて、見くらべた。ある性期の年齢を経た女というものは、若い男女のはにかみを前に置いて、さまざまな角度からながめたり、心を読んだりすることに、ひそかな興味をもつものである。泰子は、かれを眼のすみに措いて、瑠璃子の耳へ、唇をよせた。
『わたくしの、息子ですのよ。……いつか、姫にも、お話ししたことがあるでしょう。あの、平太清盛です』
――それからまた、清盛へは、ふと、こんな幼な物語を、して聞かせた。
『そなたも、三ツ四ツのころには、中御門家で養われていたことがあるのですよ。――ちょうど、いまの姫の身上みたいに』
そこまで近づけてもらっても、ふたりは、なんの話もできなかった。清盛が胸の動悸をありあり顔に染めているのを見て、瑠璃子も、理由なく面をぱっと紅らめてしまった。そして、深窓の処女には、あまりに強烈すぎるものへ対ったように、眩げな眼をそらして、ひとにも分かるような吐息をついた。