Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 180.256 caratteri · 361 schermate
足数にして、約十歩ばかり先に、一箇の死骸が、朱になって俯つ伏しているし、ずっと土塀へ寄った際にも、頭を柘榴割りにされた番の者が、塀の根へ倚りかかったまま死んでいた。
そこらは、ぶち撒いたように、血がこぼれていた。炎天なので、土や草に乾いた血は、すぐ変色して、漆みたいに黒くみえるが、生々しい臭いに羽虫が寄りたかって、面も向けていられない。
「番の者ッ」
「へ。……へい」
生き残って、今知らせに駈けて来た男は、小六の声を浴びただけで、それへひれ伏してしまった。
「両の手くびを、下緒で縛り、そのうえにもなお、麻縄をかけておいた天蔵が、どうして縄を抜けたのだ? ……。この縄を見れば、断ち切ったようでもないが」
「はいッ……。と、解いて上げたのでございます」
「だれがッ?」
「あれに、殺されている、番の者の一人がで」
「何で解いた? 誰のゆるしをうけて解いたか」
「もとより、初めは、耳にもかさずにおりましたが、甥御様が……尿がしたい、尿をする間……と余り苦しがって仰っしゃいますので」
「ば、ばかな!」
と小六は、地だんだをふまないばかり、罵って、
「なぜ、そんな知れきった手に乗って――ええ! たわけがッ」