Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 180.256 caratteri · 361 schermate
「心得ております」
「抜かりはあるまいが、夜明けまでは、一切、帯紐ゆるめて、懈怠はならぬぞ」
「はい。その儀も」
「確とな――」
云い残して、老人は、ほかへ行きかけたが、ふと、足を引き返して竈場の竈の前につくなんで、火にあたっている小男を見て怪しみながら、
「これこれ」
と水屋仲間を顧みて、訊ねていた。
「そこにおる、猿のような顔した町人は、どこの何者じゃ。見馴れぬ男だが」
「十兵衛様からのお預り人だそうでございます。――あれに若党の又市どのが逃がさぬように、番に付いておいでなさいます」
「ほ、甥御の十兵衛様から?」
と、老人は、竈場の中へはいって来た。そして、隅の薪置場に腰かけている又市の姿に気づいて、
「やあ、御苦労で」
と、何の理も分らず、世辞をいってから、
「あれにいる男は、何か、不審でもあって、捕えたものでござるか。それとも何か……?」
と、訊ねはじめた。
又市は、
「いや、仔細のほどは、何か知らぬが、ただ、十兵衛様のおいいつけで」
と、のみ答えて、多くをいわなかった。
台所頭の老人は、それきり日吉のことは忘れてしまった。そして、頻りと、主人の甥にあたる十兵衛光秀の人物を、称え始めて、