Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 180.256 caratteri · 361 schermate

Aozora Bunko

藤吉郎は、一つの床几に腰かけて、

「両方だよ。先にここで喰べる分を一盆。それからべつに、使いの駄賃は出すから、中村へ行くついでの馬子にでも頼んで、中村のわしの家へ、饅頭一折――大きな折に入れてな、届けておいてもらいたいのだ」

後ろ向きに働いていた店の亭主らしい男が、

「おう、旦那様で。まいどありがとうございます」

「よう。相変らず繁昌だな。今も例のところへ、届ける折を、頼んだところだが」

「はいはい。中村へは、よくこの辺からついでの衆もございますし、中村の衆も、お寄り下さいますから」

「いつでもいい、頼んでおくぞ。――それから、この手紙を、饅頭の折の中へ、入れてやってくれ」

藤吉郎は、懐中に用意して来た手紙を、店の者に頼んだ。

母上へ     とうきちろう

と、封の上に書いてあった。店の者は、手にとって、

「何か、お急ぎの御用でも」

「なに、早いに越したことはないが、いつでもよい。何しろ、わしの母ときては、以前からここの米饅頭というと、眼のない好物なのでな……」

云いながら、彼も、一つ頬張った。

だが、彼にとると、その饅頭の味には、すぐ涙を催して来るような思い出があった。