Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 180.256 caratteri · 361 schermate

Aozora Bunko

筑阿弥は、彼を見かけて、

「アア茶わん屋の坊っちゃんですか。うちの猿めは、何処へ隠れたでしょうか」

と、訊ねていた。

於福は、

「知らない」

と、何度も首を振っていたが、筑阿弥が、

「そんな嘘をいうと、てまえがお宅へ伺った時に、旦那に吩咐けますぞ」

と、脅したので、気の小さい於福はすぐ顔いろを変えて、

「あの舟ん中へかくれて、苫をかぶっているよ」

と、指さした。

小さい河舟が河原に引きあげてあった。筑阿弥がそこへ駈け寄ると、河童のように、日吉が中から跳ね出した。

「ヤ。こいつ!」

筑阿弥は跳びかかって日吉を突きとばした。突ンのめった日吉は、河原の石に唇を打って、歯から血を出した。

「痛えっ」

「あたりまえだ」

「ごめんよ。ごめんよ」

「猿め。今日という今日はもう……」

二ツ三ツ頭を撲いた末、筑阿弥は彼よりも何倍も優った力で、日吉の体を吊し上げ、わが家のほうへ駈けて行った。

猿々と、憎悪して呼んでいるように聞えたが、筑阿弥は何も、日吉がそう憎いわけでもなかった。貧乏を直そうと焦心るために、誰へもやかましくなり、日吉の性質をも、強いて矯め直そうとするのだった。

「もう十歳にもなりおって。