Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 180.256 caratteri · 361 schermate
そして、日吉を見出すと、すぐ呶鳴った。
「野郎っ、また追ン出されて来たか!」
家に帰ってから、一年の余はいつか経った。日吉は十二になった。
「猿っ、薪を割ったか、野郎、何でまだ、水手桶を畑へ抛ったらかしておくか」
筑阿弥は、彼のすがたがちょっとでも見えないと、探し廻って、呶鳴りつけた。
「今、やりかけてるところだよ」
口ごたえでもしようものなら、
「えい。またつべこべ」
と、土荒れした頑固な掌が、すぐ日吉の横顔へびしりと鳴った。
子を負って、棉を摘んだり、麦を踏んだり、炊をしたりしている母は、そんな時は、強いて背中を向けて黙っていた。しかし、自分が打たれるより、悲しい辛い顔であった。
「もう十二にもなれば、どこの童でも、家業の手助けは当りまえだ。親の目ばかりぬすんで、遊びたがってばかりいると、腰骨をぶち折ってくれるぞ」
そんな調子に、筑阿弥は絶えず口ぎたなく日吉をこき使ったが、母の甘い慾目ばかりでなく、実際、寺から帰って来た後の日吉は、生れ変ったようによく働いた。
(他人の御飯をたべると、こうも急に変るものか)
と、母は傷々しくながめたが、生なか庇い立てすると、かえって、筑阿弥の荒い手や言葉が、日吉へ苛酷に当るので、見て見ぬ振りをしているのだった。