Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

Leggi 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 240.656 caratteri · 478 schermate

Aozora Bunko

とくと考えて返答せい」

「………」

「どうじゃ。それにしてもまだ斬ると申すか。主水之介眉間に傷はあるが、由緒も深い五十四郡にたって傷をつけるとは申さぬわッ。探るべき筋あったればこそ探りに這入った隠密、斬れば主水之介も鬼になろうぞ。素直に帰さば主水之介も仏になろうぞ。どうじゃ。とくと分別して返答せい」

「…………」

ぐっと言葉につまって油汗をにじませながら打ち考えていたが、さすが老職年の功です。

「退けッ。者共騒ぐではない。早う退けいッ」

「わッははは、そうあろう。そうあろう。素直に退かばこの隠密とても江戸者じゃ。血もあり涙もある上申致そうぞ。さすれば五十四郡も安泰じゃ。早う帰って江戸への謝罪の急使、追い仕立てるよう手配でもさっしゃい。――若者、旅姿してじゃな。身共もそろそろ退屈になりおった。秋の夜道も一興じゃ。ぶらりぶらり参ろうかい」

「は。何から何まで忝のうござります」

歩き出そうとしたのを、ふと、しかし退屈男は気がついて呼びとめました。

「まてッ。まてまて。妻女がそこに泣いてじゃ。いたわって江戸まで一緒に道中するよう、早う支度させい」

「いえ!」

泣き濡れていた面をあげながら、凛として言ったのはその妻女です。