Classici giapponesi con furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Leggi 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 240.656 caratteri · 478 schermate
知行高は僅かに二千三百石にすぎないが、さすがは歴代つづく由緒の深さを物語って、築地の高塀したる甍の色も年古りて床しく、真八文字に打ち開かれた欅造りの御陣屋門に、徳川御連枝の権威を誇る三ツ葉葵の御定紋が、夕陽に映えてくっきりと輝くあたり、加賀、仙台、島津また何のそのと大藩大禄の威厳に屈しない退屈男も、その葵の御定紋眺めてはおのずと頭の下がる想いでした。襟を正して厳そかに威儀改めながら歩み近寄ろうとしたとき、計らずもその目を強く射たのは、御門の前の街道を隔てた川べりに糸を垂れていた異様極まりのない人々の姿です。まさしくそれこそは、ぐずり松平の御異名で呼ばれている源七郎君に違いない。だが、そのお姿の物々しさを見よ。同じ釣りは釣りであっても、さすがは将軍家御一門のやんごとない御前が戯れ遊ばす御清遊だけあって、只の釣り姿ではないのです。まんなかに源七郎君、右と左には年若いお茶坊主が各ひとり宛、うしろにはまだ前髪したる小姓が控えて、源七郎君おん自らは、葵の御定紋もいかめしい朱塗り造りの曲に、いとも気高く腰打ちかけながら、釣るがごとく釣らざるがごとくに何とはなく竿を操り、右に控えたお茶坊主は金蒔絵したる餌箱を恭しく捧持して、針の餌を取り替え参らすがその役目、左に控えた今ひとりのお茶坊主は、また結構やかなお茶道具一式を