Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

Leggi 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 240.656 caratteri · 478 schermate

Aozora Bunko

打揃いながら別室へ退いていったかと思われましたが、程経てそこに再び立ち現れた京弥の女装姿は、まこと、女子にしても満点と言った折紙すらもが今は愚かな位です。大振袖に胸高な帯をしめて、見るから水々しげな薄萠黄色のお高僧頭巾にすっぽりと面を包み、肩のあたりの丸々とした肉付き、腰のあたりのふくよかな曲線、はてはそこに乳房もかくされているのではないかと、怪しまれる程な艶に悩ましい女装でしたから、命じた主水之介までがやや暫し見惚れた位でしたが、やがて自身は勿論のこと、杉浦権之兵衛にも命じて、深々と覆面させると、細身の太刀をおとし差しに、お馴染の意気な素足に雪駄ばきで、京弥、権之兵衛両名を引き具しながら、悠々と長割下水を立ちいでましたのは、宵の五ツ少し手前な刻限でした。

今の時間ならば丁度七時半前後といった時分ですから、御意はよし、春はよし、恰もそぞろ歩きの人の出盛り時で、しかし、退屈男以下三名の目ざしたところは、川を向うに渡っての日本橋から京橋への大通りでした。無論のことにそれと言うのは、囮の京弥をなるべく人の目に立たせるためで、人が京弥のすばらしい女装姿に見惚れて通ったならば、いつかそのあでやか振りが伝わって、百化け十吉の耳にも這入り、或は直接また目にもかけ、うまうま海老で鯛を釣る事が出来るだろうと思ったからでし