Classici giapponesi con furigana
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はるいくたび
春いくたび
山本 周五郎
Leggi 春いくたび (はるいくたび) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 70.094 caratteri · 142 schermate
だん! だあん※(感嘆符二つ、1-8-75)
豪雨をつんざく銃声とともに、びゅっ、びゅっ、と弾が二人の左右をかすめ飛んだ。
「あぶないからだをふせて」
男はさけびながら、自分の馬を若菜のうしろへまわして、あおりたてあおりたて走った。しかし道はひどいくだり坂である、うっかりすると人馬もろともとがった岩へたたきつけられるだろう、――もうひといきかければまがり道になる。
と思ったとき、
「あっ――」
とさけんで男は前かがみに馬首へたおれかかった。
背中から胸へ一弾、射抜かれたのである。悲鳴をきいて若菜がふりかえると、男はさっと馬をよせながら、――ふところから一通の書状を取出して若菜の手へにぎらせた。
「これを、本陣へ、とどけてください」
「――はい」
「この道を左へ、くだるとくらやみ谷です、あとは大村まで一本道、たのみましたぞ」
「でも、あなたは?」
若菜がさけんだ時、男は大剣をぬいて若菜の馬のしりをさっとなぐった。むろん峰打である。しかしおどろいた馬は、ちょうど、ややなだらかになった坂道を矢のように走りだした。
それを見送って、男はぐっと手綱をしぼった。
暴れくるう風雨のなかを、砦からくりだしてきた追手の馬蹄の音が近づいてくる。