Classici giapponesi con furigana
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ちえのいちたろう
智恵の一太郎
江戸川 乱歩
Leggi 智恵の一太郎 (ちえのいちたろう) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 67.333 caratteri · 134 schermate
今、マリを取出して上げるから」
そう云いすてて、一太郎君は裏庭の方へかけ出して行きましたが、しばらくしますと、バケツの中へ、一ぱい水をくんで帰って来ました。
「サア、いいかい。見ててごらんよ」
一太郎君は、アッケにとられている二人の前で、そのバケツの水を、深い穴の中へザーッと流しこみました。
するとどんなことが起ったでしょう。読者諸君はもうとっくにおわかりでしょう。バケツの水が流れこむにつれて、せまい穴の中の水かさは、だんだんまして来るのです。おしまいには穴の口のすぐ近くまで、水で一ぱいになってしまいました。ゴムマリは水よりも軽いのです。穴が水で一ぱいになれば、マリは穴の入口のところまで浮上ってくるわけではありませんか。
賢ちゃんは、なんなく浮上ったマリを拾い取りました。そして、広ちゃんと二人で、さも感心したように、一太郎君の顔をながめるのでした。
「やっぱりえらいや。ねえ、広ちゃん」
「ウン、智恵の一太郎だもの」
そして、二人の少年は、口々に「ありがとう」「ありがとう」とくり返しながら、枝折戸を出て行きました。
一太郎君が二人を見おくって、縁側にもどって来ます、とお母さんはミシンをとめて、ニコニコしながら、こちらを見ておいでになりました。