Classici giapponesi con furigana
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ちえのいちたろう
智恵の一太郎
江戸川 乱歩
Leggi 智恵の一太郎 (ちえのいちたろう) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 67.333 caratteri · 134 schermate
それから西の方へかくれる時にも、また大きくなる。なぜ空の上の方では小さくて、出る時と入る時には、あんなに大きく見えるのだろうね。さあ、今日の問題はこれだよ。答えられるかい」
高橋さんは、あの意味ありげな笑い方をして、じっと一太郎君の顔を見るのでした。
一太郎君は、はっとしました。わかりきっているように思っていたことが、ほんとうは、少しもわかっていなかったからです。出る時と入る時には、月が私たちに近くなるので、大きく見えるのでしょうか。けっしてそんなことはありません。月は地球のまわりを廻っているのですから、出る時と入る時だけ、ことさら地球に近くなるわけがありません。
近いから大きく見えるのでないとすれば、では、なぜでしょう。なぜ、あんなに大きく見えるのでしょう。
高橋さんの質問は、いつもこんな風に、一太郎君をびっくりさせるのでした。ごくなんでもないことの中から、じつにふしぎな、あっとおどろくような問題を探し出して、見せてくれるのです。
「ハハハ、すっかり考えこんでしまったね。それじゃ、君はあの屋根の上の月が、ほんとうに大きいと思っているのかい」
高橋さんは、また妙なことをいいだしました。