Classici giapponesi con furigana
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しょくぶつき
植物記
牧野 富太郎
Leggi 植物記 (しょくぶつき) di 牧野 富太郎 (まきのとみたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 165.848 caratteri · 327 schermate
美しき石婦
そして虫はかく自然にその媒介を務めてくれ、この花に取って極めて重大な役目をしてやっていながら自分にはあえて何んともそれを自覚していないのはすこぶる面白い現象でしょう。つまり花は蜜の御馳走で虫を誘惑しその花に取ってとても大事な事をして貰っているのは、アノ虫も殺さないような優しいスミレの花も中々狡猾なものともいえるが、しかしまた一方から考えるとこれぞいわゆる共栄共存の自然の配剤であるとも首肯かれる。
美しき石婦
だが、この様に巧妙に出来た花も今日の世界ではこの草に取って絶対的にその役目をなしてはいない様に成っているのは余りにも不思議な現象であるといわねばならない。つまりスミレ(尤も三色スミレは除いて)は、前世ではそうでは無かったろうが現世では只無駄に花が咲いていると極言する程に強く言わなくとも殆んどそれに近い状態に在るとはいい得るのでこれは丁度、生まずの女すなわち石婦かあるいは何時も弱々しい子供しか生み得ぬ婦人かが粧いを凝し嫣然と笑って媚を呈しているようなものである。この点ナント自然界の矛盾なイタズラではあるまいか。
草木の花は種子を拵えるに在る。種子を拵えるは子孫を継ぐに在る。