Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 167.285 caratteri · 330 schermate
七兵衛は穏やかに、あのときのことは聞きたくない、せっかくの酒がさめるから、ほかの話しにしよう、と云った。
「じゃあ、一ノ関の話しでもするか」と七十郎は云った、「そうだ一ノ関がいい、その話ならあの晩の出来事とも無関係ではないからな、ではまず一杯、――」
渡辺七兵衛の顔に、かすかながら警戒の色があらわれた。七月十九日夜の出来事をもちだし、兵部宗勝に話しを転じ、その二つが無関係ではない、という口ぶりに、棘を包んだようなものが、感じられたのである。七兵衛はさりげなく話題を変えようとし、伊東どのの在所はどこであるか、と訊いた。
「また避けるね」と七十郎が云った、「どうしてあの事になると話しを避けるんだ、なにか心に咎めることでもあるのかね」
「つまらないことを云う」と七兵衛は苦笑した。
「おれはつまらなくないんだ」と七十郎は云った、「つまらないどころか、おれはひじょうに興味をもっているし、あの件についてはまだ知りたいことがたくさんあるんだ」
すると七兵衛は肩を固くし、顔を硬ばらせ、しかしまだ怒りは抑えながら、七十郎の言葉を遮って云った。
「そういう話しは聞きたくない、もしもやめないのなら、私は宿へ戻る」