Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 167.285 caratteri · 330 schermate
いつのまにか、十五六羽の鴨がおりていて、池の面を泳ぎまわったり、枯れた蓮のあいだから、けたたましく飛びたったりした。
「あの人は、なんにも、訊かなかった」と彼女は呟いた、「どうしてここへ呼んだのかも、なぜあんなことまでうちあけて話したかも、なにも訊かなかったし、気にもとめなかった、ばかね、あたしってよっぽどのばかだわ」
おみやの顔がみじめに歪み、その眼が涙でいっぱいになった。
「こういう生れつきなのね」と彼女はまた呟いた、「こういう生れつきなのよ、じたばたしたってどうなるもんじゃない、そうよ、はじめっからわかってたことよ」
しかし、おみやは崩れるように坐り、肱掛け窓に俯伏して、でもひどい、と身をもだえながら嗚咽し、あんまりだ、あんまりひどい、と叫ぶように云った。
「あたし生れ変りたかった、本当に生れ変りたかったのよ」とおみやは云った。
窓框へ俯伏したまま、頭を振り、身もだえし、まるで玄四郎がそこにいるかのように、かすれた声で嗚咽しながら呼びかけ、訴えるのであった。
「これまでの泥だらけな、汚れた躯や気持を洗いおとして、きれいな、つつましい女になりたかったのよ、こんな気持にしたのはあなたなのよ、黒田さん、あなたがあたしをこんな気持にしたのよ」