Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 167.285 caratteri · 330 schermate
「その鎧を覚えておいでか」
甲斐はじっとしていて、それから静かに、御先代の御着用でございますな、と答えた。安芸は、そうだ、と頷いた。
「父定宗が白石を攻めたときに着たもので、それまで亘理であったのを、初めて伊達の姓をたまわり、御一門に列した記念のものだ」
「たしか、大貫村の御隠居所(故定宗がいた)で拝見し、そのとき御先代から、お話しをうかがいました」
「白石の苦戦ばなしは父の自慢であった」と安芸は微笑した。
小姓の者が茶菓をはこんで来て去り、安芸は坐り直した。甲斐は扇子を膝の上におろし、加賀藩の奥村藤兵衛と会った話しをした。安芸は黙って聞いていたが、聞き終ってからも、暫くものを云わなかった。
「もちろん、事実に関しては云わなかったであろうな」とやがて安芸が甲斐を見た。
甲斐は静かに頷いた、「私の口からは申しませんが、万治の事は諸藩に知れておりますから、およそ察してはいるというようすでした」
「つづめたところ、頼みにはならぬというのか」
「奥村という人物は留守役ですから、彼の意見だけで、加賀藩の意向をきめることは誤りでございましょう、けれども、同じ外様として、幕府の政策にどう対処するかという根本の立場だけは、判断することができると思います」