Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 167.285 caratteri · 330 schermate
善太夫は「どちらも仕置が済んだ」と答えた。甲斐がそれを知らなかったことを、むしろ意外そうな口ぶりだったし、顔にも、なにをいまごろ、というような、訝しげな色があった。
「仕置とは死罪か」と甲斐が訊き返した。
「河野父子は切腹、料理人は斬首です」と善太夫が答えた。
「それが済んだというのか」
「仕置は済みました」
「いつだ」
「今日、いや、もはや昨日になりますか、昨日の夕刻に相済みました」
甲斐は眼をつむった。
鑿で刻みつけるかのように、はっきりと、甲斐の顔に苦悶の表情があらわれた。これまでかつて、そんなにもあらわに、彼の顔が歪んだことはない。いつも穏やかな、微笑を含んでいるような唇が曲り、眉間にするどい皺が立ち、両頬の肉が切りそがれたように落ちくぼんでみえた。――善太夫はそれを、けげんそうな眼で見まもり、そして、なにか失態でもあったのか、と訊いた。甲斐は眼をつむったまま、なお暫く黙っていたが、やがて力のぬけたような口ぶりで云った。
「仕置は誰の命令でやった」
「それは、もちろん、御老職からだと思います」
「名を聞こう、誰だ」
「御老職の連署でしたが、なにか御不審があるのですか」