Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 148.519 caratteri · 296 schermate
「あんたにも痛いのか」
「少ししゃべりすぎるというのだ」
「では里見さんが発言するか」
七十郎の顔が赤くなった。
「あんたは知っている筈だ」と七十郎は十左に云った、「禁酒しておられた侯に、誰が酒をすすめたか、誰が侯を曲輪へつれ出したか、こんどの大事で責任をとらなければならない人間が誰であるか、里見さん、あんたは知っている筈だし、その人間を憎んでいる筈だ」
「おれが誰を憎んでいるって」
「黒川郡吉岡の館主奥山大学どの、げんざい江戸家老の第一人者をさ」
七十郎の言葉は十左と蜂谷を驚かした。甲斐は眉も動かさなかったが、十左と蜂谷とはほとんど色を変えた。
いま江戸家老(伊達家では「奉行」といった)は四人いる。茂庭周防、奥山大学、古内肥後、大条兵庫であるが、そのうち奥山大学がもっとも年長であり、また強い権勢をもっていた。大学はもともと剛愎な独善家だったが、さらに藩家の一門である伊達兵部少輔から信任され、四国老のなかでは、誰よりも大きな権力と威勢を張っていた。
「ちがいますか里見さん」と七十郎は続けた、「もっともあんただけではない、これは御家中の多くのかたがたが知っていることだ、侯が悪いのではなく、責任は他にある、責任のある人たちが、侯のことをよそにして、各自の権力の拡張に没頭していた、各自の権力を拡張するために、侯を利用しさえ