Classici giapponesi con furigana
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ウニデスちょうりゅうのかなた
橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇
橘 外男
Leggi 橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇 (ウニデスちょうりゅうのかなた) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 247.361 caratteri · 483 schermate
「時計ですの。……歌い時計なんですの!」
「時計にしては、大分重いようですな」
「その中に……その中に少し実は、わたくしの装身具類を、詰めてきたものですから」
「いけませんな、そういうことをしては! 税関の眼を晦ますためだと、誤解されても仕方がありませんぞ! 中を開けて、お見せなさい」
夫人に向って突っ立っている、その肥った税関吏の背の陰になって、嬢の方からは見えなかったが、夫人が時計の裏蓋を開けて見せている様子であった。途端に税関吏の太い濁った声が、一際高く耳を打ってきた。
「いけません、いけません、これは奥様、禁制品じゃありませんか。このまま、お通しするわけにはゆきません。いったん、税関で、調べた上でのことになります」
「そうすると……没収になるのでしょうか?」
「没収になるか、還付になるか、調べた上でなければ、御返事はできかねます。ともかくあなたも、このままお通しするわけにはゆきませんから、一応税関まで御同行下さい。次の駅で、下車する用意をしておいて下さい。これはともかく、税関でお預りします」
再び時計はボール函に納められて、無造作に紐をかけてそれを持って、税関吏は立ち去ってしまった。