Classici giapponesi con furigana
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たなださいばんちょうのかいし
橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇
橘 外男
Leggi 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.181 caratteri · 219 schermate
「あれが、自家発電所になってますの。あすこで、電気を起して水門の調節をしたり、家へ電気も点くように、なってるんですけれど、戦争中からやってませんの。じゃ、今、爺やに捲き揚げさせますわね……あ、何か板切れでも、あるといいんだけれど……」
「嬢さま、これじゃ、どげんもんじゃろうかね?」
それが六蔵でしょう、私に目礼しながら六十ぐらいの頑丈そうなオヤジが、大きな板切れを出しました。
「じゃそれをうかべて頂戴! 流すんだから」
「ようごぜえますか? じゃ、水を、出しますだよ……よっこらしょと! ――」
と、六蔵の手が捲き揚げ機へかかって、ガラガラと重い水門の扉が、少しずつ開き始めます。ヒタヒタと、やがてチョロチョロと……次第次第に水嵩を増して、やがて板切れは矢のように、流れ出しました。
「ほうら、速いでしょう? あんなに速く……もっともっと水が増すと、ボートや板に乗って、ちょうど、あのくらいの速さで、下るんですのよ。……ね、ほらほら、あんなに速くなるでしょう……?」
手を叩いてスパセニアがハシャイでいるとおり、なるほどこのスリルと爽快味だけは、見たこともない人には、到底想像も及ばぬでしょう? 次第次第に水嵩と速度を増して、板切れは視界の向うに、見えなくなってしまいました。