Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たなださいばんちょうのかいし

橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇

橘 外男

Leggi 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.181 caratteri · 219 schermate

Aozora Bunko

ジーナが来ている……私に逢いたくて、泣いている! テラスを飛び降りて、奥庭の柴折り戸を突っ切って、どこをどうして門の砂利道まで躍り出たか覚えがありません。夢中で飛び出して、門の柱に身を寄せた女と眼が合った途端、おう! スパセニアだ! と私は大声を上げました。ジーナではありません、スパセニアだったのです。

しかもそのスパセニアが、私の姿を見ながら、確かに私と真正面に顔を合わせながら、懐かしむどころか! 涼しい眸に、憤りとも怨みとも付かぬ非難の色をうかべて、涙ぐみながら唇を噛み締めて、じっと睨み付けているのです。

「スパセニア、スパセニア!」

と私は門前へ躍り出しました。が、不思議にも! その時はもうスパセニアの姿は、掻き消すように、見えなくなってしまったのです。

「スパセニア! スパセニア!」

と狂気のように私は、右手の坂を駈け降りて見、また左手の坂を駈け降りて見……私の家は、三番丁と五番丁と両方の坂の上に建っている、高台です。が、何としてもスパセニアの姿は、見当りません。ただ、ひたひたと濃い黄昏ばかりがあたり一面に垂れ込めてくるばかりでした。

が、今一瞬の間に顔を合わせたスパセニアの映像だけは、網膜深く刳り付いて、忘れようとしても忘れられるものではありません。