Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たなださいばんちょうのかいし

橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇

橘 外男

Leggi 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.181 caratteri · 219 schermate

Aozora Bunko

藤五郎氏、伊手市氏両人とも、それ以来ここへ来るのは、今日が初めてだという。

「旦那様、見えますでやしょう? あすこに小さく……あれがお墓でごぜえやす」

なるほど、ポツンと二つ墓も見えるが、それよりもこの景色! なんという素晴らしさ! なんという美しさ、さっき飛沫を上げる東水の尾岬に立って発した感嘆とは、また異なった嘆声をもう一度、私も上げざるを得ぬ。

傾斜を下り切って、今この野原に立って眼を上げる。見ゆる限り草蓬々たる大野原! 四周を画って層々たる山々が、屏風のごとくに立ち列なり、東北方、山襞の多い鬱然たる樹木の山のみが、その裾を一際近くこちらに曳いている。

陽はその中腹あたりの岩肌をキラキラと輝かせているが、天地万物寂としてしかも陽だけが煦々として、なごやかにこの野原に遊んでいる。

向うの山の頂に美しい白雲が泛んで、しかもその白雲の翳を落としているあたり、ヒョロ高い松が二、三本聳えて、その根元に墓が二つ……。

あすこに、美しい娘たちが眠っているのかと思うと……青年ももはや亡く、ただ不思議な縁で、何のゆかりもない私が今、その墓詣りに来ているのかと思うと、万感こもごもわき起ってくる。