Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
たなださいばんちょうのかいし
橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇
橘 外男
Leggi 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.181 caratteri · 219 schermate
、恍惚と眠けを催すほど、長閑な気持になってきます。そして、美しい娘二人の並べてくれたこの食事の、どんなに美味なことだったでしょう。
「生憎今日は、御飯を炊いてませんのよ、お口に合いますまいけれど、どうぞ!」
と妹の勧めてくれるおいしい裸麦の麺麭や、カルパス、半熟卵、チーズだとか果物、さっきのような強い珈琲……どんなに生き返ったような気がしたか、遠くの海を眺めながら、そして庭の緑に眼を放ちながら、麺麭をちぎり卵を抄い……私が饑えを満たしている間、娘二人は両端に座を占めて、紅茶を飲みながら久しぶりの客をもの珍しそうに、東京の話、私の通って来た雲仙からの道中、登って来た山々の話なぞ、それからそれと話し合っていました。なるほど私の想像していたとおり、同じような顔立ちながら、姉の方は無口とみえて恍惚と細目に眸を開いて、ただ夢のようにほほえんでいるばかり、私の相手は妹に任せている風でした。
そして、今でも覚えているのは、この眺めている海には一艘の船もなく、船どころか! 見える限りの景色のどこにも、また家の中にもこれ以上の人はいないように思われます。あんまり寂寞過ぎて、なんだかそれが私には、不思議でなりません。