Classici giapponesi con furigana
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たなださいばんちょうのかいし
橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇
橘 外男
Leggi 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.181 caratteri · 219 schermate
いつの間にか硝子戸も閉ざされたとみえて、模糊と漂っている春の夕暮れの中に、さっきまでの明るい紺青の海ももうまったくの、ドス黝さに変っているのです。
もう間もなく、夜の帳も降りるでしょう。暮れるに間のないこの夕暮れ眼がけて、この見知らぬ高原へ飛び出す勇気はありません。慌てて階下へ飛んで降りて、ちょうど勝手口から出て来た、姉か妹かわかりませんが出逢い頭の娘に、私はペコペコと頭を下げて、眠り過ぎてしまった不覚を謝りました。
そして、暮れかかるところを眼がけて飛び出すのは、どうにもヤリキレヌから厚顔しい願いだけれど、もう一晩だけ泊めて欲しい、その代りさっきのような、あんな立派な部屋でなくても結構だから……納屋の隅でも、かまいませんからと、本音を出して頼んだのです。
「オホホホホホホホ」
と娘は面白そうに、笑い出しました。
「そんなに仰しゃらなくても、いいんですのよ、……そうですとも、こんなに暗くなってからお出かけになんか、なれやしませんわ。そんなところに立ってらっしゃらないで、こっちへいらっしゃい!」
さっきの食堂にも蝋燭が点っていれば、その隣にも、また隣にも、間ごと間ごとに蝋燭が瞬いて、殊に暖炉のある居間には、壁にも蝋燭が点いていれば、卓子の上にも、丈高い燭台に三本も点って、電気と違わぬ明るさです。