Classici giapponesi con furigana
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ぶしゅうこうひわ
武州公秘話
谷崎 潤一郎
Leggi 武州公秘話 (ぶしゅうこうひわ) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 107.572 caratteri · 209 schermate
「まあ、こゝへおすわりなさりませ」
と、再び促がされたので、
「うん」
ともう一遍うなずいて、その気おくれの感情を抑えるために、わざと畳へ響きを立てゝ威勢よくすわった。
図
「若さま、あなた様ももう二三年でございますね、そうしたら戦に出られるようにおなりになりますよ」
と、誰かが少年の心の中を察して、そう云ってくれた。
「ほんとうにね、此のお児は体格もしっかりしていらっしゃるし、上ぜいもおありになる、見るから頼もしそうなお児だ」
女たちは法師丸がどう云う人の忰で、どう云う事情で此処にいるのかをよく知っていた。それに、自分たちが人質の身の上であってみれば、此の少年の境遇に自然と同情を抱いたのであろう。中には又、此の少年ぐらいな年恰好の息子や弟を持っている母や姉もあったであろう。兎に角みんなが法師丸の雄々しい姿を褒めそやして、「初陣の時の武者振りが見たい」とか、「こう云う世継ぎを儲けておられる武州殿は仕合わせだ」とか云ったりした。しかし法師丸は、そんなことはどうでもよかった。それよりも早くいくさの話をして貰いたかった。と、さっきの老女が、
「あなた様は、まだ一ぺんも敵の様子を御覧になったことがございませんの」