Classici giapponesi con furigana
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ぶしゅうこうひわ
武州公秘話
谷崎 潤一郎
Leggi 武州公秘話 (ぶしゅうこうひわ) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 107.572 caratteri · 209 schermate
――野獣性があることを證拠立てゝいるように思われる。しかしながら多くの女性、―――取り分け松雪院のような気高い品性の婦人にあっては、決してそのことが長続きしない。彼女が「面はゆげに」罪を謝したと云う「道阿弥話」の記事は、いかに此の夫人が己れの悲しむべき過失を悔悟したかを語っている。察するところ、彼女は夫の陰険な底意をはっきり見透した訳ではないが、彼の行為に何かしら不審な点があることを感じ、直覚的に、自分にもよく突き止められない恐怖と不安を覚えたのであろう。そうしてそれは、「夜半に及ぶまで睦じき御物語の御様子にて、おん仲至極めでたかりし事共也」とある、その夜の経験が最も重大な原因を成しているであろう。と云うのは、「見し夜の夢」の妙覚尼の説に、松雪院は遂に一度も武州公と枕を交したことがなかったとあるけれども、それは妙覚尼の臆測であって、現にその夜蚊帳の外にいたと云う道阿弥の見聞を疑う餘地はないからである。蓋し河内介が伏戸をその部屋へ移したのは、道阿弥の首の眺めを一種の刺戟に用いるつもりであったことは想像に難くない。が、初心の花嫁と云うものは、そうでなくとも急に男を忌まわしいものに思うことが有りがちであるのに、斯かる悪戯は果して彼女にどんな印象を与えたであろうか。