Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぶしゅうこうひわ

武州公秘話

谷崎 潤一郎

Leggi 武州公秘話 (ぶしゅうこうひわ) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 107.572 caratteri · 209 schermate

Aozora Bunko

公の弱点を知り、性生活の秘密を探った上で、あらためて仔細に凝視すると、気のせいでもあろうが、表面颯爽たる英姿の底に何となく一種の不安な感じ、―――公の魂の苦悶とでも云うべきものが、そのいかめしい武装の内に隠されていて、或る云い難い陰鬱さの漂うているのが看取される。例えばその大きく開いた眼、固く結んだ唇、怒れる鼻や肩つきなど、恰も猛虎の絵の如く人を畏怖せしむるに足るけれども、見ように依ってはリョウマチの患者が骨を刺すような節々の痛苦をじっと我慢している時の表情に似ている。それに南蛮胴の鎧と云い、水牛の抱角に帝釈天の兜と云い、邪推をすれば、内面の弱点を人に見透かされまいとして、強いてそう云う威嚇的な扮装をしたと思われぬでもない。が、たゞでさえシャチコ張った甲冑姿が、此の異様な装身具のために一層不自然さを増して、いかにもギコチなさそうである。元来鳩胸胴の鎧を着たら、矢張西洋風に床几にでも腰かけた方が似合うであろうに、あぐらをかいているのだから、胴ばかりが変に前へ飛び出して、尚更窮屈そうに見える。つまり此の鎧の下にあるべき筈の、戦場で鍛えた筋骨隆々たる肉体の感じがない。