Classici giapponesi con furigana
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いなかきょうし
田舎教師 他一編
田山 花袋
Leggi 田舎教師 他一編 (いなかきょうし) di 田山 花袋 (たやまかたい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 156.097 caratteri · 312 schermate
大家の軒の風鈴の鳴る音がかすかに聞こえる。仏壇には灯がついていて、蓮の葉の上に供えた団子だの、茄子や白瓜でつくった牛馬だの、真鍮の花立てにさしたみそ萩などが額縁に入れた絵のように見える。明るい仏壇の中はなんだか別の世界でもあるかのように清三には思われた。
母親がそこへはいって来て、
「病気でないと、政一(弟の名)のところにもお参りに行ってもらうんだけれど……今年は花も上げてくれる人もないッてさびしがっているだろう」
「ほんとうにさ……」
「父さんがつごうがよければ行ってもらいたいと思っていたんだけれど……」
「ほんとうに、遠くなって淋しがっているだろう」
清三は亡くなった弟をしみじみ思った。
「明日あたり私がお参りに行こうかと思っているけれど……」
「ナアに、治ってから行くからいいさ」
しばらく黙った。
母子の胸には今月の払いのことがつかえている。薬代、牛乳――それだけでもかなり多い。今月は父親のかせぎがねっからだめだった上に、母親も病気で毎月ほど裁縫をしなかった。先ほど、医師から勘定書きを書生が持って来たのを母親は申しわけなさそうにことわっていた。
「なアに、父さんが帰って来れば、どうにかなるから、心配せずにおいでよ」