Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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がらすどのうち

硝子戸の中

夏目 漱石

Leggi 硝子戸の中 (がらすどのうち) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 52.702 caratteri · 105 schermate

Aozora Bunko

「なに、つい此間さ。今日で二週間になるか、ならないぐらいのものだろう」

彼はそれからこの死んだ従兄について、いろいろ覚えている事を私に語った末、「考えると早いもんですね旦那、つい昨日の事としっきゃ思われないのに、もう三十年近くにもなるんですから」と云った。

「あのそら求友亭の横町にいらしってね、……」と亭主はまた言葉を継ぎ足した。

「うん、あの二階のある家だろう」

「ええ御二階がありましたっけ。あすこへ御移りになった時なんか、方々様から御祝い物なんかあって、大変御盛でしたがね。それから後でしたっけか、行願寺の寺内へ御引越なすったのは」

この質問は私にも答えられなかった。実はあまり古い事なので、私もつい忘れてしまったのである。

「あの寺内も今じゃ大変変ったようだね。用がないので、それからつい入って見た事もないが」

「変ったの変らないのってあなた、今じゃまるで待合ばかりでさあ」

私は肴町を通るたびに、その寺内へ入る足袋屋の角の細い小路の入口に、ごたごた掲げられた四角な軒灯の多いのを知っていた。しかしその数を勘定して見るほどの道楽気も起らなかったので、つい亭主のいう事には気がつかずにいた。