Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
がらすどのうち
硝子戸の中
Leggi 硝子戸の中 (がらすどのうち) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 52.702 caratteri · 105 schermate
江戸が東京に改まった時か、それともずっと後になってからか、年代はたしかに分らないが、何でも私の父が拵えたものに相違ないのである。
私の家の定紋が井桁に菊なので、それにちなんだ菊に井戸を使って、喜久井町としたという話は、父自身の口から聴いたのか、または他のものから教わったのか、何しろ今でもまだ私の耳に残っている。父は名主がなくなってから、一時区長という役を勤めていたので、あるいはそんな自由も利いたかも知れないが、それを誇にした彼の虚栄心を、今になって考えて見ると、厭な心持は疾くに消え去って、ただ微笑したくなるだけである。
父はまだその上に自宅の前から南へ行く時に是非共登らなければならない長い坂に、自分の姓の夏目という名をつけた。不幸にしてこれは喜久井町ほど有名にならずに、ただの坂として残っている。しかしこの間、或人が来て、地図でこの辺の名前を調べたら、夏目坂というのがあったと云って話したから、ことによると父の付けた名が今でも役に立っているのかも知れない。
私が早稲田に帰って来たのは、東京を出てから何年ぶりになるだろう。私は今の住居に移る前、家を探す目的であったか、また遠足の帰り路であったか、久しぶりで偶然私の旧家の横へ出た。