Classici giapponesi con furigana
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ちくはくき
竹柏記
山本 周五郎
Leggi 竹柏記 (ちくはくき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 45.798 caratteri · 91 schermate
八束もそれを察したものか、家はいつも留守だし、居どころを知っている者もなかった。
約束の前日、鉄馬が役所へ来て、その旨を告げた。孝之助は義兄に礼を述べてから、
「彼は和解など、決してしないよ」
と静かに云った。
「たぶんそうだろう、おれも本当ならそんな交渉はしたくない、もしできるなら、おれが代っても始末をつけたいところだ、捜したのは肚の虫を抑えてのことだったんだが」
「もういいよ、その場になったら、なんとかきりぬけるようにするよ」
「なにか思案があるのか」
「なにもないけれど、できるだけ事を小さく済ませるように、したいと思う、それには、独りでゆきたいんだ」
「ばかなことを」鉄馬は首を振った、「――はたし合に介添を付けない法はない、それに相手が岡村八束ではないか」
「しかしちょっと考えることがあるんだ」
理由は云えないが、と断わって、彼は鉄馬の介添を、つよく固辞した。
「わかった、では介添はやめよう、だが原のところまでは付いてゆくよ」
鉄馬はこう云って去った。
この藩でも、私闘は原則として法度であるが、作法を守った「はたし合」は、理由が武士の名誉に関する限り、正式に咎められることはなかった。