Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちくはくき

竹柏記

山本 周五郎

Leggi 竹柏記 (ちくはくき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 45.798 caratteri · 91 schermate

Aozora Bunko

過失もないが、際立って功績もない。安穏ではあるが平凡きわまる生活だ。しかも、二人の子まで生しながら、夫婦の仲は依然として冷たい。事務のようにきちんとした明け昏れのなかで、妻は固く自分の殻を閉じている。

「――どう思うだろう」

彼はまた呟いた。

めざましい出世をし、なお輝かしい将来を約束されている八束の前へ、かつて八束と愛しあい、まだ忘れかねているらしい杉乃を、このような良人がいっしょに伴れて出る。他のばあいならできないことだ、それは孝之助自身よりも、杉乃にとって屈辱である、杉乃を二重に侮辱することであった。

廊下を小太郎とふみが駆けて来た。

「お父さま、釣りにゆきましょう」

小太郎が息をはずませて云った。休みにはゆこうと、約束がしてあったのだ。

「お父たまついにいちまちょ」

ふみが負けずに力んで云い、すばやく入って来て、うしろから父親の首に絡みついた。

「ふうちゃんはだめ」小太郎がいばる、「――女は釣りなんかできません、ねえお父さま、女はだめですねえ」

「ふうたんこんなだあいまちぇんよ、ふうたんはただふうたんでちからね」

「こんなだって、女のことこんなだってさ」