Classici giapponesi con furigana
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えいほんどじょうりくせんのぜんや
英本土上陸戦の前夜
海野 十三
Leggi 英本土上陸戦の前夜 (えいほんどじょうりくせんのぜんや) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 35.727 caratteri · 72 schermate
13
家へかえって、内儀さんによく相談してみたらいいでしょう」
折角いい機嫌になった彼は、大使館に於けるこの押し問答によって、また憂鬱を取り戻した。なんという頭の悪い、そして礼儀知らずの館員だろう。彼は憤然、大使館の門を後にした。そしてもう、こんなところへ二度と来るものかと思った。
彼が、門を出ていってしまった後で、受附子は、にがにがしい顔をして、
「どうも、空爆のせいで、気が変な人間が殖えて来るよ。わしは、この頃、世話ばかりやっているが、あいつが大使館参事官なんて、とんでもない奴だ」
といいながら、ふと気がついて、書棚から在外使臣名簿を取り出して、頁をくった。そのうちに、彼は、びっくりしたような声を出した。
「あっ、仏天青、駐仏大使館参事官! あっ、ここにあったぞ。この頃は、新任の連中が殖えて、一々名前を憶えていられないや。しまったなあ。このまま放って置けば、この次に来たとき、こっぴどい目に会うぞ。よし、追駆けてみよう」
受附子は、ちょっと顔色をかえると、あわてて、外へ飛びだした。
だが、このときには、もう彼の姿は、どこにも見当らなかった。
13
仏天青は、列車にのって、リバプールに急ぎつつあった。