Classici giapponesi con furigana
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えいほんどじょうりくせんのぜんや
英本土上陸戦の前夜
海野 十三
Leggi 英本土上陸戦の前夜 (えいほんどじょうりくせんのぜんや) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 35.727 caratteri · 72 schermate
6
アンは、息をはずませながら、早口にそういった。
「ああ、そうだったか。おれはこの頃、神経衰弱になったのか、妙に、なにもかも、忘れてしまうんでね」
仏は弁解らしくいった。そして胸の中はうれしさで一杯になった。
(アンは、やっぱり、おれの妻だった。おれは幸運にも、自分の家庭へ戻ることが出来たのだ)
しかし彼は、アンを心配させないために、過去の記憶のなくなったことを、なるべく急には言うまいと思った。そのうちに、何かの拍子で、恰も緞帳が切って落されたように、一ぺんに自分の過去が思い出されるかもしれないと、そこにはかない望みを残したのであった。
6
リベッツの宿というのは、海岸にあった。
アンが、自動車を、リベッツの宿につけたとき、空襲警報は、はじめて解除となった。アンは、仏の手をとらんばかりにして、宿の中へ誘った。下宿の老婦人は、アンを見ると、驚愕に近い表情になって、彼女のところへ飛んできたが、傍に仏が立っているのに気がつくと、俄に平静に戻ろうと努力し、
「おや、まあ、これは……」
と、どっちつかずの挨拶をすれば、アンはそれを途中から引取って、
「おばさま。これ、この通り、夫にうまく行き逢いましたのよ。